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 2017.

 



 


高齢者の住まい〜権利金と入居一時金 2015.5

「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ付き住宅)」、その分類や形態は、類型が複雑で、利用者にとっても分かりづらいものになっています。

 法的な枠組みとしては、有料老人ホームは、厚生労働省が、サ付き住宅は、国土交通省と厚労省が所管しています。また、有料老人ホームは老人福祉法に、サ付き住宅は高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に定められています。

 今回は、かねてからトラブルが散見した、入居の際に支払う、権利金や一時金についての話題です。

 入居の際に求められる権利金等は、呼称はさまざまですが、その内容は曖昧で、額も高額なものも少なくなく、退去の際などの返還などをめぐって、トラブルの原因ともなってきました。

 @権利金等と、A敷金や家賃の前払い金等(一時金)についてのルールの概況を説明します。


1 有料老人ホーム

1−1
 まず、平成23年老人福祉法の改正により、有料老人ホームの設置者が、権利金その他の金品(権利金等)を受領してはならないことが定められました(法29条第6項)。
 一部、平成23年3月31日までに設置届がされた有料老人ホームについての経過措置がありましたが、平成27年4月1日からは、同条項が適用されます。
 従って、今後の入居については、権利金等の受領は禁止されることになります。

1−2
 前払い金として、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として一時金を受領することは、上記の対象外です。

 これらについては、一時金の保全措置のほか、算定の内訳を書面で明示すべきこと(法29条第6項)や、契約解除や死亡により終了したの場合の一時金の返還等のルールが定められています(法29条第8項、老人福祉法施行令第21条第1項、2項)。
 入居後3ヶ月を超えてからの解約では、一時金がどの程度返却されるのか、償却の割合等について、引き続き留意が必要です。


2 サ付き住宅

2−1 
 サ付き住宅の場合は、平成23年改正の高齢者住まい法の定めにより、同様に、権利金その他の金銭の受領は出来ません(高齢者住まい法7条第1項6号ハ、施行規則11条)

2−2
 敷金や家賃等の前払金(以下「家賃等の前払金」という。)についての規制も、有料老人ホームと同様です(高齢者住まい法7条第1項6号二、ホ、施行規則12条第1項、2項)。


3 
 ところで、平成27年3月30日、厚生労働省老健局長から、各都道府県知事等宛で、「有料老人ホームやの設置運営標準指針について」とする改正通知が発せられています(老発0330第3号)。

 サービス付き高齢者住宅のうち、老人福祉法上の有料老人ホームに該当する場合には、同指針の対象となることや、入居者が医療や介護のサービス等を自由に選択できるようにすることを指針で明確にしていくことなどに言及されています。


 利用者と福祉サービス事業者(支援者)とが、お互いにとって、より良い関係性を築いていくための、基盤、法整備にも期待がかかっています。


「ダイバシティ」 2015.4

 「看護管理」(医学書院)には、良い記事が多いと感じられます。

 2014年10月号では、「職場適応に困難を抱えるスタッフへの支援”こぼれ落ちない人材育成を目指して”とする特集がありました。

 同特集のなかで、京都大学大学院医学研究科教授、任和子(にんかずこ)氏は、ダイバシティについて、谷口真美著「ダイバシティ・マネジメント」(株式会社白桃書房)等も引用し、紹介されています。

 ダイバシティという言葉、多様性と言われていますが、企業での取り組みも含め、最近ではさまざまな分野で聞かれるようになりました。

 任氏は、この言葉について、『「異なる背景や価値観を持つ人々が共に働くことで生産性を向上し、創造性を高めていこうという考え方」(谷口真美氏/多様な人材を活用するダイバーシティ・マネジメント・労働旬報、平成15年10月15日号)』と紹介します。
 
 そして、看護の職場で、「夜勤ができる人」と、「夜勤ができない人」がいる場合を例に、職場内で、最初に「抵抗」が生じ、多様性が受け入れられ、統合されるまでの4つの段階を、分かりやすく解説されています。

 こうした研究の成果を知り、また看護部門での先駆的な実践を知ることは大変有益なことです。

 前掲、谷口真美著「ダイバシティ・マネジメント」によれば、ダイバシティは、年齢、世代、母国語、教育、部門間等あらゆるカテゴリーで研究対象となるとされています。


 集団のなかで、対立(コンフリクト)がどのように生じて、解消され、多様性が受け入れられるに至るのか。

 新しい時代に対応するために考えを深めること、その入り口がどこにあるかを教えてくれます。




「1冊の本」 2015.4

 人には心に残る本と出会うことがあります。多読の人であっても、そうでなくとも、そんな出会いがあるのだと思います。

 私にとって、そうしたなかの1冊に、
「刀耕清話/小川忠太郎の遺した魂(こころ)」(静岡大学教授杉山融著/平成22年6月24日初版発行・体育とスポーツ出版社)というタイトルの書籍があります。

 91歳で逝去されたという小川忠太郎剣道範士(九段)の講話等を、著者が分かりやすく、提示されています。剣道の門外漢である弊職が読んでも、その外縁を垣間見ることができます。

 幾つもの示唆に富む言葉がありますが、例えばこんな下りがあります。

 「剣道はこれでよいと思った時は堕落也。よいと思った場をすぐに捨て、
  また新しく修行をやり直す心が秘訣也。(後略)(『百回稽古(第25回目107
  頁)』)」
 
 遺された言葉について、著者が、「気(浩然の気)、剣(技術)、あるいは体(体さばき)のレベルについて反省し、不足しているところを補うように工夫していくことは大変重要なことです。」等と、紐解いていきます。

 道を究めた方が発する言葉は、いずれもずしりと重く感じられるものがありますね。
 工夫し続けること、挑戦し続けること、そんな気持ちを思い起こされるのです。

 
 

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